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『上総守が行く!』

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2011年 09月 20日

『被写体』

或る日の朝、手賀沼をポタリングした。
この日は、秋の雲と、ぽってりとした雲が混在する、風変わりな空だった。
手賀沼公園で、そうした空とボート乗り場の風景をカメラに収めた。
『被写体』_a0104495_6432795.jpg
写し終えた、丁度そのとき、「ここから東京スカイツリーが見えるそうですね」と声を掛けられた。
シニアのジョギング氏であった。
「それは初耳です。今日は見えていないようですが、見えるとすれば、あの里山の切れた辺りでしょうね。いいことを教えて戴きました。次ぎ、ここへ来たときの楽しみが増えました」。

あやめ園に立ち寄ってみた。
勿論、アヤメの花の季節ではないが。
三脚を立てたカメラマン氏がいた。
『被写体』_a0104495_6435925.jpg
こういうところに出くわすと、「この人、何を撮ろうとしているのかな」と思うことがよくある。
しかし、何を撮ろうとしているのか、聞くのは変だ。
「カワセミ狙いですか?」はまだ良いが、「風景ですか?」は変だ。
そんなことを思いながら、カメラマン氏の後ろ姿をカメラに収めるのであった。

先日、勤め先の若手、関西在の、Mくんと電話。
仕事の話が終わったところで、「上総さん、遂に、デジタル一眼レフを買いました」と。
彼は登山が趣味。そして、写真も。
カメラは、デジタルが欲しいなあと言いながら、フィルム式を愛用。
山登りのときには、荷物にはなるが、一眼レフと交換レンズを何本か、携行するとのことだ。
いつぞや、彼が山で撮った写真を見せて貰ったことがある。
青空と、下界の山々を見下ろす風景だった。
山登りをする人だけが撮り得る写真だ。
「新しく買ったのは、勿論、ニコンだよね」。
「フィルム式と同じニコンです」。
「で、レンズはどうしたの?」。
「取敢えず、標準レンズだけ」。
「同じニコンだから、手持ちの交換レンズは使えるしね」。
「使えるのは、マニュアルだけですよね。10月9日に、子供の運動会があるので、デジタル一眼レフ用のズームも欲しいですけど...」。
「子供さんの運動会は大事なこと。以前、使っていた TAMRON AF 18-200mm が箱の中で眠っているので、お試しも含めて、これをお貸ししよう。東京出張時に手渡しで」。

運動会、東京スカイツリー、風変わりな雲を背景としたボート乗り場、そして、遭遇したカメラマン氏が狙っている被写体が何かなど、被写体は、人それぞれである。
そして、そのときの、人それぞれの思いで、その被写体を切り撮るのである。

フォト:2011年9月17日

by kazusanokami | 2011-09-20 06:01 | エッセイ


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