2012年 01月 04日

『ブリューゲルの動く絵』

ブリューゲルの絵を初めて見たのは、「農民の踊り」ではなかったかと思う。
それは絵画としてではなく、1970年、ウィーン・フィル来日時に、再発売された、カラヤン指揮/ウィーン・フィルのドボルザーク 交響曲第8番(1961年録音、LP初出 1965年、ロンドン・レーベル)のレコード・ジャケットであったと思う。

「ブリューゲルの動く絵」。
ブリューゲルの描いた「十字架を担うキリスト」の絵が動き出すのである。
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「十字架を担うキリスト」/原寸大プリント。
ウィーン美術史美術館所蔵の原画の原寸大プリントが上映館内で展示されていた。
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十字架を背負うキリストは、中央に描かれている。
しかし、民衆の中に埋もれてしまっている。
処刑の地であるゴルゴダの丘は、遠く、小さく、右上の方に描かれている。
この絵画の英題は"The way to Calvary / Christ carrying the cross"となっている。
Calvary/[聖書]カルバリ《キリストはりつけの地;Jerusalem近くの丘;Golgothaのラテン語訳》
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実験的映画である。
しかし、実験的というニュアンスの映画ではない。
発想という意味で、実験的なのである。
絵画を動かすことは、画家に対する、或いは、絵画に対する冒涜かもしれない。
しかし、冒涜という言葉は当たらない。
絵を言葉で解説することがある。
映画でその解説をしたと思えばよい。
しかし、単なる解説ではない。
映画そのものなのである。
何処かで読んだ評論の通り、元々、絵があったのではなく、動く絵=映画があり、それが絵になったと思わせる、映画である。

東京メトロ「三越前」駅地下コンコースに「熈代勝覧(きだいしょうらん)」絵巻の複製が展示されている。
この絵巻は、文化2年(1805年)頃の日本橋から今川橋までの大通り(現在の中央通り)を東側から俯瞰し、88軒の問屋や店に加え、行き交う人1,671人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽ならびに屋号や商標が書かれた暖簾、看板、旗などが克明に描かれている。
映画「ブリューゲルの動く絵」を観ながら、ふと、この「熈代勝覧」が頭の中に浮かんだ。

フォト:2011年12月31日、渋谷ユーロスペースにて
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by kazusanokami | 2012-01-04 19:50 | 映画 | Comments(2)
Commented by settsuno-kami at 2012-01-04 23:12
東京メトロ「三越前」駅地下コンコースに「熈代勝覧(きだいしょうらん)」絵巻の複製が展示されているとな、一度じっくりと拝見したいものです!
Commented by kazusanokami at 2012-01-04 23:47
摂津守殿 
動いて欲しき絵は数多御座りまするが、そのうちのひとつとして、「熈代勝覧」も御座りまする。
弊歩録、2011年1月28日付をご覧あれ。
極々、一部、ちょこっとだけで御座るが、雰囲気だけでも...。


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