2012年 02月 19日
浄真寺。 九品仏(くほんぶつ)で有名な寺である。 総門の手前で駐輪する。 「上総殿、ここで、ひとつ、有名人宅のご案内を。寺の塀沿いを左手へ歩んでくだされ」と猫殿。 二軒ばかり、進む。 表札を見る。 「よくある苗字ながら、推察するに、渡り鳥シリーズの、あのスター宅に御座りまするな」。 「正解に御座りまする」。 「参道の両脇は閑静な住宅街。まことに結構なところに、家を構えて居るんで御座りまするな」。 浄真寺創建の由来。 開山は江戸時代初期の高僧「珂碩(かせき)上人」で、四代将軍徳川家綱公の時、延宝6年(1678)に、奥沢城跡であったこの地を賜り、浄土宗所依の経典である観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)の説相によって堂塔を配置し、この寺を創建された。 「江戸名所図絵」に描かれている堂塔の配置と現状とはほとんど変わりはないが、昭和40年に本堂・仁王門とも茅葺を鋼板葺に改修した。 総門。 ----------------------------------------------------------------------- 当山二世珂憶上人の高弟珂慶上人の御筆で流麗雄渾な筆致である。 般舟とは般舟三昧の事で常に行道念仏として現前に諸仏を見奉るを言う。 般舟三昧経三巻は弥陀経典中最古のもので浄土三部経と共に古来より重ぜられている。 当山は院号を唯在念仏院と称し念仏の道場であり参する人々に願往生の心を自然に発さんが為書かれたものである。 ----------------------------------------------------------------------- 総門をくぐる。 境内には、数日前に降った雪がまだ残っている。 老写真家が小仏を撮っている姿がこの寺の雰囲気によく合っている。 閻魔堂を覗いてみる。 正面に閻魔像、その右手に葬頭河婆の像。 左手に楼鐘、右手に本堂を見る。 本堂。 本堂は「龍護殿」とも称されている。 三仏堂は、上品(じょうぼん)堂、中品(ちゅうぼん)堂、下品(げぼん)堂から成っている。 上品堂に三体、中品堂に三体、下品堂に三体の都合九体の阿弥陀如来像が安置されている。 阿弥陀如来九体は、それぞれ、上品上生(じょうしょう)、上品中生(ちゅうしょう)、上品下生(げしょう)、中品上生、中品中生、中品下生、下品上生、下品中生、下品下生を表し、これをあわせて九品(くほん)という。 御堂の中には入れないが、硝子戸を通して阿弥陀如来像九体を拝む。 三仏堂ならびに阿弥陀如来像九体を代表して、上品堂と上品上生、上品中生、上品下生をここにアップロードしておこう。 記録として「九品仏と三仏堂」の案内板をここにアップロードしておこう。。 ---------------------------------------- 九品仏と三仏堂。 珂碩上人(1617~94年)は、念仏行者としてー代の高僧であるとともに、また非常に彫刻に秀でられ、その彫刻された仏像も多数におよんだ。 なかでも、18歳で発願、51歳のとき完成した九躰の阿弥陀如来像(九品仏)は上人畢生の結晶といわれる代表作で、末代衆生化益の尊い御仏像である。 九躰とも文化財の指定をうけ、上品(じょうぼん)堂(中央)、中品(ちゅうぼん)堂(右)、下品(げぼん)堂(左)の三つのお堂(三仏堂)にそれぞれ三躰ずつ安置してある。上品堂のうち、中央を上品上生仏、右を上品中生仏、左を上品下生仏とする。中品堂、下品堂と同様で、したがって阿弥陀さまには、上品上生から下品下生まで九つの名があり、それぞれ手の位置および印契が異なっている。 なにゆえに阿弥陀さまに九品の差別があるのか、一つには私たちの浄土教入信の過程・段階を、二つには念仏によって浄化される私たちの心の様態を示し、三つには往生人たるわれわれの機根を分類したのであって、私たちが念仏信仰に入るときの動機から、段々念仏によって身(み)と口(くち)と意(ここち)の三つが浄化されてゆき「生けらぼ念仏の功つもり死なば浄土にまいりなん。とてもかくてもこの身には、思い患うことぞなき」という念死念仏の心境に至る道程を示したものということができる。 京都府下の浄瑠璃寺(九躰寺)とともにわが国における東西の九品仏像の双璧である。 -------------------------------------------- なかなか難しい点もある説明書きだ。 或る資料を参照すると「九品(くほん)とは、物質や人の性質を3x3で分類したもの。現在、我々がよく使う、上品(じょうひん)や下品(げひん)の語源とされる」とあった。 西の九品仏、浄瑠璃寺(京都府木津川市加茂町)の阿弥陀如来坐像九体は、浄真寺の三仏堂とは異なり、本堂に横一列に安置されている。 浄瑠璃寺の本堂と阿弥陀如来坐像はいずれも国宝である。 フォト・データによれば、総門をくぐり、境内に入ったのは11:33であった。 そのとき、老写真家は小仏を撮っていた。 総門をくぐり、帰ろうとした際、老写真家は、まだ、小仏を撮り続けていた。 かれこれ、1時間余が経過していた。 このように、写真を一箇所でじっくりと撮るのも面白いだろうなと思った。 フォト:2012年1月28日 (つづく)
by kazusanokami
| 2012-02-19 13:11
| 世田谷寺社めぐり
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