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『上総守が行く!』

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2012年 05月 07日

『ザ・タワー ~都市と塔のものがたり~ 』 tw-2

プロローグに続いて、第一部のコーナーに進む。
このコーナーは、江戸時代、明治・大正時代の「高みから見る風景」がテーマ。
このコーナーの冒頭で目に入った六曲一隻の屏風を見て驚いた。
何と、津山郷土博物館所蔵の鍬形蕙斎画「江戸一目図屏風」ではないか!
この屏風のことは、今年2月の新聞で知った。
『ザ・タワー ~都市と塔のものがたり~ 』 tw-2_a0104495_73649.jpg
想像でしか描くことの出来なかったこの時代に斯様な鳥瞰図を描いた、この画家は何と素晴らしい人だと思った。
津山郷土博物館を訪れ、是非、この屏風を見たいと思っていた。
江戸東京博物館所蔵のものは複製とは言え、これを見る機会を得、大満足であった。

「高みから見る風景」の高みには、自然の地形を利用して風景を楽しむこともある。
そのひとつとして、愛宕山からの眺めを描いた、数々の錦絵(江戸東京博物館所蔵)がある。
愛宕山は、以前、桜田山と称したそうだ。
徳川家康が愛宕権現を勧進したことから愛宕山に改名したとのことだ。
ポタリングで、時々、愛宕山を訪れるが、その名の由来は知らなかった。
錦絵ともども、誠に興味深いことであった。
余談ながら、この展示を眺めながら、イタリア人写真家フェリーチェ・ベアトの「愛宕山から見た江戸のパノラマ」(1863年)のことが頭に浮かんだ。

「高みから見る風景」の高みには、天守閣など、人工的な高台もある。
展示の中で、「明治21年撮影 全東京展望写真帖」(1932年(昭和7年)大塚巧芸社発行)に収められた、面白い写真を見た。
それは、建設中の、御茶ノ水/ニコライ堂の足場から撮影された風景である。
ニコライ堂から北側を眺めた「東京高等師範学校を隔てて池之端茅場町方面を望む」と解説されており、仔細に見ると確かに不忍池が視認出来る。
この写真帖には、足場で覆われた、建設中のニコライ堂も収められている。
ニコライ堂は、1883年(明治17年)に起工し、7年後の1891年(明治24年)に竣工した。
写真は「明治21年」とあるので、完成の3年前に撮影されたこととなる。
ドーム屋根の高さは35m、当時の建物としては、最高の「高み」であっただろう。
時折、ニコライ堂を訪れる小生にとり、誠に興味深い写真であった。

フォト:2012年2月29日付日本経済新聞

(つづく)

by kazusanokami | 2012-05-07 07:01 | 東京スカイツリー


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