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『上総守が行く!』

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2013年 04月 24日

『卯月、鎌倉に遊ぶ/建長寺(4)』 au-4

建長寺法堂。
鎌倉では、4月12日から21日まで、美術展「観〇光 KAN HIKARI ART EXPO 2013 京都・鎌倉展~日本の美とこころ~」が開催されており、ここ建長寺もその会場となっていた。
法堂で展示されていた作品の中で、心引かれるものがふたつあった。

「阿修羅 -asura-」/加藤魏山。
『卯月、鎌倉に遊ぶ/建長寺(4)』 au-4_a0104495_1048660.jpg
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修羅道に住まい、永遠に戦いを繰り返していた阿修羅もこれまでの罪を懺悔して釈迦に帰依し仏法を守護する神となる。
光と影、正と邪、静と狂・・・
この世界は相反するものが共存しながら危ういバランスの上に立っている。
阿修羅もその危うさの中で正義にもなれば悪鬼にもなる。
その危うさの中にある阿修羅の姿に自分自身を投影する。
仏教に取り入れられた天部などの神々は、元来インドの神でありながらも
その伝播の過程で唐様の装束や甲冑を身に着けているという発想から
"加藤魏山の阿修羅"として、日本の中世の甲冑を身に付けた阿修羅像を制作した。
(gizan KATOH Diary...<月鏡>, gizankatoh.exblog.jp より)
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一見したとき、随分とイメージと異なる阿修羅像だなあと思ったが、これを読み、納得できた。
展示場所が、釈迦苦行像の脇であるというのがこれまた心憎い演出でもあった。

「ムーンダンス」/瓜南直子。
『卯月、鎌倉に遊ぶ/建長寺(4)』 au-4_a0104495_110585.jpg
『卯月、鎌倉に遊ぶ/建長寺(4)』 au-4_a0104495_1103080.jpg
『卯月、鎌倉に遊ぶ/建長寺(4)』 au-4_a0104495_1105587.jpg
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「ムーンダンス・Moon dance」
四曲一隻屏風
顔や手でなく、足が語る言葉を聞きたい。
足が奏でる音楽を聴きたい。
まだ見たことのない風景を描きたい。
「足」は、昔から好きなモチーフで、何度となく描いているけれど、群舞を描いたのは初めて。
一隻四曲の屏風に仕立てようと思ったとたんに、この構図とシャンバラからの通信が届いた。
そして今後、描いて行きたいテーマの一つとなった。
いつもは、生のキャンバスをパネルに張って描いているが、今回は画面も大きいので寒冷紗を張って下地を作った。
絵具は岩絵具を使っている。
古代の大きな月に誘われて、ひたひたの水の上を、すべるように踊る足。
踊っているうちに、やがて月界へとたどり着くだろうか。
画面から、足が奏でる音楽が聞こえてくるでしょうか。
瓜南直子
Naoko KANAN
(作品脇の添え書きより)
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添え書きの中に「一隻四曲の屏風に仕立てようと思ったとたんに、この構図とシャンバラからの通信が届いた。そして今後、描いて行きたいテーマの一つとなった」と綴られている。
シャンバラとは何ぞや?
「チベットに伝わる伝説上の秘密の仏教王国」とのこと、また、「アスラの王。神々との戦争でアスラの指導者として戦ったが、最後はシヴァの手で倒される結末となった」とも。
作者の言葉「シャンバラからの通信が届いた」の意味するところはよく分からないが、理屈はどちらでもよいことだ。
先の阿修羅の彫刻以上に、この絵に感銘を受けた。
寺院で観ているせいか、仏足跡をも思い起させる。
淡い画調で描かれた足、そして、作者の言葉通り、その足が奏でる音楽が聴こえて来る。
既に故人となった作者に、そう、伝えたいくらいだ。
最近、絵を描くことに目覚め、しかもチベットに造詣の深い松柏木さんにこんな絵があるんだと伝えたく、このブログを綴る次第だ。

美術展「観〇光 KAN HIKARI ART EXPO 2013 京都・鎌倉展~日本の美とこころ~」、早朝の鎌倉でいいものを見せて貰った。

フォト:2014年4月13日

(つづく)

by kazusanokami | 2013-04-24 11:44 | 湘南鎌倉ポタリング


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