「上総版 浦島太郎もどき物語」。
かわせみ池近くの遊歩道でカメを見掛けた。
先日は、ネギ畑で「カモネギ」ならぬ「カメネギ」に遭遇したりし、ここ暫らくカメと縁がある。
手足はすくめ、首だけだ出して、じっとしている。
近づいて、見てみる。
カメの顔をじっくりと眺めさせてもらう。
カメの顔をじっくりと眺めるのは、松ちゃんのペット、ギリシャリクガメの哲学者的風容貌以来のことである。
「カメさん、カメラですよ」と思わず口に出そうになったが、止めた。
人間様はお邪魔!と言っているようだったので、その場から去った。
しかし、気になるので、振り向いてみたところ、歩み始めていた。
堂々とした歩みである。
遊歩道の縁石を越えて、花壇の中へ。
花壇は三段の設えで、一段、二段が花壇となっており、三段目は最下段の地面である。
一段目から二段目の段差は大したことはないが、二段目から地面までは高さ50cmくらいある。
段差を無事にクリアして、地面まで辿り着けるのか心配になり、再び、近寄ってみた。
一段目の花壇を歩む。
一段目と二段目には落差あり。
さて、どうやって進むのか。
何の躊躇もなく、そのまま、ドスンと落ちた。
裏返しになっていないだろうかと見に行ったところ、無事、歩んでいた。
次は、高さ50cmくらいの、大きい落差である。
ここも何の躊躇もなく、高さ50cmの落差をそのままドスンと落ちた。
裏返しになっていないだろうかと見に行ったところ、案の定、この有り様だった。
もがいて起き上がろうとするが、なかなか上手く起き上がれない。
何度ももがいているうちに最後には起き上がれるのであろう。
しかし、もし、そうでなかったら、カメの干物になってしまう。
自然の摂理に反する(???)が、手を貸してやった。
暫らくすると、水のある方へ歩み始めた。
草叢を過ぎ、小川に滑り込んだ。
余りきれいな小川ではないが、この先に竜宮城があるのだろう。
助けたカメに連れられて竜宮城へ、とはならなかった。
何故なら、玉手箱を開けずとも、既に齢六十五を数える爺様であったから。
「上総版 浦島太郎もどき物語」の一節、お粗末様でした。
フォト:2013年7月13日
(完)