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『上総守が行く!』

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2007年 12月 16日

『しまなみ海道討入/尾道千光寺大願成就祈願』#5

(第五話)

若店主の「瀬戸内のものがよろしゅう御座りませう」との言葉を受けて、品書きを眺めると、「地」活たこ造り、かんぱち刺、おまかせ刺盛、「地」尾道ゆでしゃこ、「地」からこげの唐揚げ、「地」剣先いかバター、「地」えびの唐揚げ、「地」小ふぐの唐揚げ、「地」えびのサクサクかき揚げ、かんぱちカマ塩焼、「地」白ギス天、「地」活たこ天...。
頭に付された「地」は、品書きでは、「丸」の中に「地」と記されており、地の物の意。
此の「地」の文字が、また、食欲をそそるので御座りまする。

文字が書き連らねられているものに、何故か、興味を惹かれる拙者、品書きを可眼羅に収め候。
拙者は品書きのみ、料理のフォトは、摂津殿が専門の領域にて、彼に御任せ。
拙者は美味なる肴にせっせと箸を運び、摂津殿は美味なる肴にせっせと可目羅を向け候。

蝦蛄は体長、三、四寸はあろうかと思われる大振りにして肉厚のもの。
姿、形を見るだけでも旨そう。
眺める時間も惜しく、早速、口に入れると、ほろっとした感触が、此れ又、宜しく、美味に御座った。

からこげの唐揚げは、白身に軽く油の良き香り、此れも又、美味に御座った。
“からこげ“とは、体長、一寸程度の小振りのオコゼ。
大振りのオコゼの唐揚げは、時折、食すも、同じオコゼでも全く異なり、箸で一匹摘まみ上げ、口にぽんと放り込むと“うーん、からこげ!”という感じ。
「それって、どんな感じ?」。
「うーん、そやねぇ。曰く、言い難し...。やっぱり、“うーん、からこげ!”っちゅー感じですわ...」。
瀬戸内は、矢張り、小魚に限りまするなあ...。

若店主のサービスにて供された、巻貝を煮たもの、爪楊枝で身を引っ張り出し、口に放り込むと、よき歯応え、程よく馴染んだ、ちょいと濃い目の醤油の味、此れも又、美味に御座った。
貝の名を聞くも、余り旨さに気を取られ、メモ取る事も忘れ、貝の名は失念。
“若店主御奉仕、巻貝のウマウマ煮”と申しておこう。

ラスト近くで、再び、からこげの唐揚げが登場。
「これ、注文したの?」と思いつつ、既に箸は“からこげ”に。
翌日、摂津殿に「あれは、若店主のサービス?」と問うた処、「余りの美味にて、此処許が追加注文致しものに御座る」と。
追加注文の“からこげ”は、拙者がせっせと箸を運び、全てを平らげたのではあるまいか、摂津殿は一匹も食されておられぬのではないか、あれこれ、考えるも定かでは御座らぬ。
“うーん、からこげ!”

「翌日は大事な大事な討ち入り故、前夜祭の酒は程々に」と御同輩よりキツーイ御忠告、戴き候事にて、杯の空く都度、「程々に、程々に」と言い聞かせるも、琉球泡盛『菊之露』の“氷塊入り”が、殊の外、旨く、最後の二、三杯は此れで有りたと記憶致し候。
摂津殿は何杯呑んだのかな? 拙者は何杯呑んだのかな? 何れも不詳!

会話も弾み、明日からの“討ち入り”の楽しきイメージを描き、瀬戸内の旨き肴の数々、焼酎、泡盛などを楽しみ、大満足、大満足。

刻限を見れば、早、九時を廻っており、明日からの大事も控え居る事にて、旅籠に戻る事とし、前夜祭は中〆。
御勘定は〆て壱萬弐千文弱に御座った。

おタナに着きし頃は、我等二人だけに御座るも、帰り際には満杯。
其れも若い衆ばかりに御座った。
若い頃から、こげな旨かもんを食しておるとは、羨ましき事なり。
我等は瀬戸内の東側、明石海峡近くに育ち居り、旨か魚を食し居るも、同じ瀬戸内でも、西と東じゃ、小魚は別物に御座る。

尾道の前夜、独りと二人じゃ、大違い。
此の夜はホントに楽しゅう御座った。
前夜の尾道入りを快諾下されし摂津殿に感謝、深謝、謝謝(又又、中国語!?)、多謝(此れは台湾語!)...。

尚、おタナの名を”Kissui”と申して参るも、ホントの名は『きっ粋』である旨、申し添え置き候。

『きっ粋』さん関連情報:安芸国尾道郷土堂町2-7-4 糸電話:0848-21-2358

(つづく)

by kazusanokami | 2007-12-16 18:28 | しまなみ海道2007


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