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『上総守が行く!』

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2013年 06月 22日

『心象風景/雨、晴れて』

「雨はれてターナーの絵あらわれる」。
これは、ロンドン日本人学校の小学6年生の少女が詠んだ句だ。

20数年前のことである。
彼の地に住まいし頃、日本人向けミニコミ誌に掲載されていたこの句を前にして、駐在員の間で「ターナーの絵って見たこと、ありますか?」、「名前は知っているけど、絵は見たことがないね」、「ターナーのコレクションで有名な美術館はテイト・ギャラリーだそうです」との会話があった。

早速、テイト・ギャラリーへ足を運んだ。
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner)、イギリスのラファエル前派の画家。
小学6年生の少女の詠んだ句にあらわれた絵がターナーのどの作品であるのかは分からなかった。
しかし、子供にしてその感性は素晴らしいものだと、絵を鑑賞しながら思った。

余談ながら、テイト・ギャリーで見た絵の中で印象深かったのは、ジョン・エヴァレット・ミレー(John Everett Millais)の「オフェーリア」であった。
この絵のことについても触れたいが、本論から外れてしまうので、ぐっと我慢して次へ。

ターナーといえば、先日の日経新聞文化欄に東京芸術大学美術館で開催中の「夏目漱石の美術世界」に関する紹介記事が掲載されていた。
その記事の中の「『坊ちゃん』、『倫敦塔』、『夢十夜』など初期作品に因む西洋絵画の名作が並ぶ。赤シャツが語るターナーの松とは、これなのか」との記述に目を惹かれた。
「坊ちゃん」を読んだのは、50年以上も前のことだ。
赤シャツがターナーを語っていることなど、最早、記憶の外のことだ。
「坊ちゃん」を読み返してみなければと思った。
『心象風景/雨、晴れて』_a0104495_1131088.jpg

今日は朝から晴天であった。
久し振りの晴天にも拘らず、昼過ぎまで野暮用があり、日課(???)の、カワセミ・スポット&手賀沼周遊に出掛けられなかった。
やっぱり、日課をこなさなければ落ち着きがよろしくない。
夕方、愛馬の「還暦創輪号」を駆って、手賀沼に出掛けた。

遠くで雷鳴が轟いているように思えた。
上空には雲が多くなりつつあるように思えた。
手賀沼西端のカワセミ・スポットに到着して、暫らくすると、雨が降り出した。
先週月曜に続いての、鳥見中の降雨だ。
先日は橋の下での雨宿りだったが、今日はカワセミ・スポット近くの東屋で雨宿りだ。
降っても絶対に濡れない自信がある(変な自信かもしれないが)。
暫らくすると雨は止んだ。
鳥の声がする。
雨が止んで鳥の声がするときは、もう降らないという証しである。

手賀沼西端から南岸を走る。
走りながら、ふと、「雨はれてターナーの絵あらわれる」の句が頭の中を過ぎった。
小学6年生の詠んだ句のターナーを小生なりにイメージして、手賀沼東端からの風景を撮ってみた。
20数年前、ターナーの絵に出会えたのは、素晴らしい句を詠んだ小学6年生のお陰である。
その20数年後、その句とターナーの絵をイメージして手賀沼の風景を眺めることが出来たのは降雨のお陰である。
降雨に遭遇するのもまんざら悪くはないなと思いながら、手賀沼東端から北岸を走り、我が家へ戻った。

フォト:2013年6月22日午後6時45分 、手賀沼東端/曙橋にて






by kazusanokami | 2013-06-22 23:58 | 心象風景


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